できるだけがんばらないひとりたび

団地で暮らす旅好きミニマリスト・田村美葉(みは)

なんとなく文学部に進学して「就職先がない」と絶望しているひとへ

anond.hatelabo.jp

こちらの匿名ダイアリーへのアンサーです。

N=1なうえに、15年も前の話で恐縮ですが、私もなんとなく文学部に進学して、就活をスタートする時点(正確にはスタートしてしばらくしてからだったと思う。世間知らずでした)で初めて「文学部を卒業しても就職先があまりない」という事実に直面して絶望しました。

今から思うと絶望するほどのことでもなかったかなと思うので、まとめてみたいと思います。

 

 

「文学部を出ても就職先がない」とは、分析するとこういうこと

なんとなく文学部に進学すると、普通に就活をスタートした時あまりの自分の就活バリューのなさに直面して、打ちのめされます。

実際のところは、「文学部を出ても就職先がない」わけでは全然ないです。

世間には星の数ほど企業はあるので、有名大卒ならなんでもいい会社もあるし、大卒ならなんでもいい会社も、人間ならなんでもいい会社もあります。

ただ、「文学部を出ても就職先がない」と思ってしまう理由はこういうところにあります。

 

  • 文学部卒がなんとなく目指すテレビ局、新聞社、出版社、広告代理店のような企業は、文学部以外の人も全員目指すので、学部関係なくあらゆる面で就活偏差値が高くないと無理(容姿が整っている、コミュニケーション能力がある、コネがある、常識がある、などなど……)
  • 大学生に向けて積極的にオリエンテーションや説明会を開催していたり、就職情報誌に載っていたりして、文学部卒がなんとなくエントリーシート送ってみたりする企業は、文学部の学生にあまり興味がない
  • 文学部の教授はだいたい変わり者なので、理系研究室と比べると企業とのつながりが皆無に等しく推薦や紹介が皆無
  • 文学部の学生はだいたい変わり者なので、縦のつながりも横のつながりも当てにならなくて情報が全然集まらない
  • 文学部卒でもまともな企業に就職している先輩はそもそも就活偏差値高めの人なので、相談に乗ってもらっても参考にならない

サークルやバイトをやっといた方がいいのは、それでコミュニケーション能力が伸ばせるとか(伸びないです)、エントリーシートに書けるとかいうことよりも、変わり者しかいない学部の「外」に情報網が持てることが非常に大きいと思います。

私も大学3,4年の頃はバイトもサークルもやってなかったので、厳しかったですね。

 

いい企業に出会えるかどうかはわからんですが(あまりにもベンチャーすぎるところもあるし)、日本仕事百貨とかWantedlyとかをちょっと眺めてみると、いわゆる大学生向けの就活情報誌とは違う仕事がいっぱい見えてくるので、「こういう生き方もあるんだな」って参考になるかもしれません。文学部だろうがとってくれるところいっぱいあると思います。

日本仕事百貨

はたらくを面白くするビジネスSNS・Wantedly

 

文学部の研究職には絶望しかなくても、「資格を持つ」ために進学することも可能です

文学部の研究職に進むことに絶望しかないのは、大昔から変わりません。

中島義道先生の「東大助手物語」を読むと、自分の絶望など全然大したことないなと思えるのでおすすめです。

 

おすすめは、資格をとることのできる大学院です。文学部を出てからでも目指せそうな大学院と資格や試験を以下に書いてみます。

大学院でなくても独学で取れる資格もあります。

 

資格を取ればそれで絶対就職できるから、ということではないですが、資格を目指す過程で「仕事」に関する知識を得られるので、仕事をしている自分のイメージが持ちやすくなり、「やりたい仕事」がなんとなくわかってきます。自分が何に向いてるのか何がやりたいのかさっぱりわからんが勉強は好きという人には、誰ともコミュニケーションせずにインターンしてるような感じなのでおすすめです。

あとは、「勉強ができる」ことを客観的な数字でアピールする効果もありますね。 TOEICとかで尋常でない数字を取っておいたり、業種となんの関係もなくても仏検1級とか持ってたりすると、「文学部で勉強がんばってた」ことの証になりますし、それだけで「バイトでリーダーやってました」とかより全然好アピールかと思います。

 

一度「正社員フルタイム勤務」になってからでも、生き方はいっぱいあります

私は就職活動にかなり苦労しましたし、そうやって苦労してなんとか新卒で企業に潜り込んでからも、大学をたった4年で卒業して新卒で就職したことが本当に「正解だったのかどうか?」をずっと自問自答して苦しんでました。

そのことはこの記事に書いたんですけど。

www.e-aidem.com

「一般企業に総合職の正社員として就職して、東京で人並みの一人暮らしができる手取り給料をもらって、週5日間フルタイムで勤務する」という暮らしって、ごく一部の人の生き方でしかないです。ただそれを元に、「大丈夫、正社員にならなくても、生き方はいっぱいあるよ!」ていうのは違うかな、と個人的には思ってて。ユーチューバーになるとかフリーランスライターになるとか、最初から道を外れて生きるのは、そっちの方が大変なので、せっかく頑張って勉強して文学部を卒業するなら「正社員フルタイム勤務」の切符を一度手に入れてみるのは全然アリの選択肢です。何度も書くように、「大卒ならなんでもいいです、とにかく来て!」て会社はいくらでもあるので、一度働いてみるのは全然アリ。

働いてみると見えてくることも非常にたくさんあります。私はIT系の会社で働いてなんの成果も出せず苦しんでましたが、不動産系の会社に転職したら、IT系のちょっとした知識だけで重宝された、みたいなこともあって、働くうちに自然と身につく知識っていっぱいあります。

だから、大学4年の時に大学で勉強を続けるか、それとも働くか」の選択肢はめちゃくちゃ大きい違いのように思えていましたが、「大学院で好きなことの研究を続けていくこと」と、「会社で働きながら好きな仕事の知識を得ていくこと」って、そんなに違うことではないんだと思ってます。

会社の仕事が全然好きになれなかったとしても、自分の好きなことを続けていく方法だって死ぬほどありますし。

 

匿名ダイアリーへのアンサーというより、大学4年の当時の私が抱えていた絶望へのアンサーという感じになってしまいましたが、今日もほどほどにやっていきましょう。ライフイズビューティフル。

presented by 東京エスカレーター / CC BY-NC 4.0