できるだけがんばらないひとりたび

団地で暮らす旅好きミニマリスト・田村美葉(みは)

コミュニケーションが苦手な人のための海外ひとり旅ガイド

世の中には、「出会いを求めて旅に出る」という方もいらっしゃるそうなのですが、そういうのが絶対無理なタイプでも、やたらと旅に出ているひともたまにいます(私です)。人とのコミュニケーションがすごく苦手な人のための、海外ひとり旅ガイドをまとめます。 

 

そもそも「誰も誘えない」からひとりなのであって、旅に出たからといって急に人とコミュニケーションができるようにはなりません

まず、誘うひとがいない、誘うのが面倒臭い、自分から誰かを誘うことに抵抗を感じる、誘ったのに断られると二度と立ち直れない、など、様々な理由で「やむをえずひとり旅」になっているのが今の状態なのであって、旅に出て、いきなり見知らぬ人とコミュニケーションがとれるようになるわけではありません。

なので、日本語が通じるシェアハウスだって無理なのに泊まる場所にドミトリーを選んだり、一人でご飯を食べることすら抵抗があるのにロンドンだからといっていきなりパブに入ってみたり、しないようにしましょう。さらなる疎外感を味わう感じになります。

旅に出て、いきなり別人に変身することは、ほぼないのです。

 

 参考:何度読んでも、我ながらよいこと書いてあるな、と思う記事です。

www.dekirutabi.tokyo

 

目的がないなら、旅に出なくても良いです

そういうわけなので、「なにか劇的な変化があるかもしれない」と過剰な期待をして旅に出る必要はないと思います(コミュニケーションが苦手な人は特に)。

以前、はあちゅうさんのこの記事が話題になりましたけど(古い)、「だから旅に出る必要はない」という結論をのぞいて、ほぼ同意できます。旅に出ても特に変わることはないです。

lineblog.me

 

私の場合は、「世界の素敵なエスカレーターを見てみたい」というやむをえない事情(でもないですが)があるためにやむをえず旅をしているのであって、家にいながらにして向こうからエスカレーターがやってくるのであれば旅に出る必要ないんですよね。

漠然と、「旅がしたい」ではなくて、「自分はその旅で何をしたいのか」考えてみるとよいかもしれません。

 

「現地の人が訪れるローカルな場所」じゃなくて、「観光客ばっかり訪れるミーハーな場所」に行くのもアリです

そうはいっても、特に目的はないんだけど、なんとなく遠出したいな〜という、曖昧な感じで旅に出たい気分のときもあるとは思います。そういうときは、いきなり「誰も知らない秘境」とかに行くのではなくて、思いっきりミーハーな場所を選んじゃうのもアリです。

ミーハーな場所のいいところは、お店のひとたちが慣れているので観光客に大変親切なのと、大抵の場合、言葉をしゃべらなくても簡単に選ぶだけのコースみたいなものが用意されているということです。

国単位で「とにかく観光客に優しい」という場合もあります。私が経験したところでいうと台湾、よく言われているのはハワイあたりです。ものすごく海外から来た人に優しいです。

 

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台湾の中でもさらにど定番の鼎泰豊では日本語のメニューからチェックするだけで注文完了。日本語も通じるお店ですが、日本語すら一言も発しなくても大丈夫です。

 

ひとりで観る絶景はたまに虚しいですが、ミッションクリアだと思えばそうでもないです

私は高いところが好きなので、観光地のタワー的なところには登りがちなんですが、ある時期からタワーが軒並み恋人たちの聖地になってしまったことがありまして、周りで自撮りしまくるカップルやグループに囲まれて虚しい気持ちになったことがありました。しかし、今は「世界中のタワーに登りまくる」ことを自分のミッションのひとつに数えているので、そうすると、どんながっかりタワーだった場合もダメージは少ないです。そういうふうに、ひとり旅では自分にミッションを課すのも結構オススメです。

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ミッションクリアのために訪れた台北101ですごく旅っぽい夕日が撮れて逆に戸惑う。

 

 「ぶらぶら街を歩く」のが楽しいのはコミュニケーション力の高い人。コミュニケーションが苦手な人は「目的地」をしっかり決めておきましょう

なにも目的を決めずに、ふらっと降りた駅でふらっと街をぶらぶらして、知り合ったおっちゃんやおばちゃんと会話を楽しんだり、ふらっと飲み屋に入ったり……憧れますけれども、そんなこと、人生の中で一度もできたことがありません。初めての店に入るのも無理だし、初めての人にこちらから話しかけるのも無理。

なので、私はある程度の目的地だけはしっかりと決めて街を歩きます。矛盾するようですが、「なるべく遠回りしたり寄り道したりするために、目的地を決める」んです。たとえば、あの美術館のあるあの駅まで行こう、と決めたら、無駄に乗り換えしたり遠回りしたり、自由自在です。乗り換えの駅や、遠回りしたルートで、素敵なエスカレーターを見つけられたりもします。

もし、何も見つけられなかったら、普通に目的地を楽しめばいいのですし。そういう意味で、るるぶやまっぷるなどの、ごくふつうの観光ガイドブックは「偶然発生装置」として大変優秀です。なんなら、途中でどんどん脱線していく可能性も含めてガイドブックの最初の方に載っている「モデルコース」をそのままなぞったって、なんら問題ありません。

portal.nifty.com

コミュニケーション能力が高すぎていつも慄く、DPZ小堺さんの「地元の人頼りの旅」連載。読むと凹むので、コミュニケーションの苦手な人は避けておいたほうが無難。ただ、小堺さんがもう聞いてくれてるので、この通りに行ったって問題ありません。

 

なるべく「人と喋らなくてよい」準備をしていきましょう

日本語でのコミュニケーションがそもそも苦手なので、英語含めた外国語のコミュニケーションがうまくできるわけありません。

なので、私の場合はなるべく喋らなくていい準備をしていきます。

スマホを持っていく

・予約はネットで完了して、予約控えを持っていく

・ホテルも航空券も保険もなにもかも、紙の控えをとにかく持っていく

スマホがあれば、あらゆることはGoogle先生に日本語で聞けば解決するのですが、ホテルのチェックインで一言も喋らなくても見せるだけで済むようにとか、いろいろ考えて、予約の控え的なものはいろいろ印刷していくことが多いです。スマホを渡すのに抵抗があっても、紙ならそのまま渡してしまえば自動的に作業が進むのでおすすめ。ホテルのフロントや空港のチェックインでは「ハロー」と言ってパスポートと予約控えを渡してあとはニコニコしています。

 

 参考:初めての人向け、「空港のチェックインと、ホテルのフロントで、何が行われているか」ガイドです。

www.dekirutabi.tokyo

www.dekirutabi.tokyo

 

 

ホテルをとるなら、「ドミトリーのあるホステルの1人部屋」が結構おすすめです

大学の4年間を学生会館で過ごし、ひとりも友達ができずに無駄に疎外感を味わった経験がある私は、ドミトリーなど人と相部屋になるところでの宿泊ができません。代わりにどうしているかというと、おすすめのドミトリーが検索とかで出てきたら、そのドミトリーに「個室」がないかを調べるようにしています。これ、わりとあります。

ドミトリーの個室のいいところは、本当にコンパクトなので相部屋ほどではないですが結構安いこと、共用部が使えるので電子レンジとか冷蔵庫とか揃っていて、ひとりごはんが捗ることなどです。

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ドミトリーの1室なので基本的に内装や設備はそれなりで期待できないのですが、思いがけず完璧なダブルベッドが待っていたりして感動することもあります(期待値が低いから)

 

ひとりのごはんが辛かったら「きっちり3食、食べなくてもよい」と考えると楽になれます

ひとりでご飯を食べるのは、慣れない場所だとキツイです。あまりひとりご飯というのが一般的でないお国柄だったり場所だったりすると、いい顔されないことすらあります。

なので、ご飯は食べたいものがあったときに食べればいい、ぐらいの気持ちでのぞみましょう。もし、何もなければコンビニでもマックでも入ればよいです。飢えて死ぬことはないです。

きっちり3食でなくていい、というのは、逆に言うと、「さっき食べたな」とか、「このあと夜ご飯が待ってるから」とか、美味しそうなおやつを我慢しないで、5食とかになっちゃってもいいということです。台湾では目につく美味しいものを少しずつ、やたら買い食いして5食ぐらいになってましたけど、楽しかったです。

 

夜は、けっこう暇です。なるべく朝型の予定を立てましょう

観光ガイドブックを買うと、「ナイトライフ」みたいなコーナーが時々あってクラブとかバーとかおすすめされてるんですけど、これ、いらないな〜っていつも思います。もともとあまりお酒を飲まないし、国内ですらそんなナイトライフ楽しんだりしてないのに、海外でわざわざ危険な夜間に出歩く必要ないです。女性のひとり旅では特に、やめておいたほうがいいです。

そうすると、夜のホテルでわりと時間を持て余しがちなんですが、そういうときは無理に楽しもうとせずに、ぼーっと現地のテレビを見たりとか、本読んだりとかしましょう。私の場合は、あえて事前に予定を立てずに残しておいて、翌日の予定をホテルの部屋で考える(そうするといつの間にか寝てる)ということが多いです。

観光地によっては朝早くからあいていて楽しめるところも多いので、俄然、朝型の行動パターンをおすすめします。

 

トラブル回避の原則は、自分の力を過信しないこと

 私のひとり旅の大原則は、「自分の力を過信しないこと」です。

旅に出ると、浮かれていたり、いつも以上に肉体を酷使したりして、ふだんより注意力が散漫になったり、精神力が落ちたりすることは多くても、いつもよりも力を発揮することなんてほぼありません。自分の力を過信しない、コミュニケーション力が飛躍的に高まるなんて期待しない、これ、大事です。

 

ちなみに、旅に出ると「周りの人間が何をしていてもほとんど気に留めない風土(パリ)」だったり、「とにかく街じゅうの人が人懐っこい風土(キューバ)」だったりで、コミュニケーション力が低い人にとって「なんて生きやすいんだろう」と思うことも時々あります。が、それはそれで、また別の話です(逆の場合もあるし)。

 

旅先だからといってはめをはずしたりせず、ふだん通りの行動を心がけましょう。それでも十分、旅を楽しむ方法はありますから。

presented by 東京エスカレーター / CC BY-NC 4.0