できるだけがんばらないひとりたび

団地で暮らす旅好きミニマリスト・田村美葉(みは)

「人に怒られると泣いてしまう」ひとへ

anond.hatelabo.jp

こちらの記事を読んで、他人事とは到底思えなかったので、この方にあてはまるかわかりませんが、自分自身の経験と個人的な対処法のまとめを書きたいと思います。

 

自分の「理想像」を捨てましょう

まずはこの記事をじっくり読むところからはじめます。

東京/銀座/カウンセリングオフィス/こころのそうだんしつTRUTH/自尊心と自己愛の違い

 

「プライドが高すぎる」まま大人になってしまうひとは、そんなに珍しくないと思います。何度か書いていますが、私の観測範囲で、新入社員の5割強がそういう性格を持っており、指導をしている過程で「ああ、怒られたことを率直に受け止められないタイプだな」と感じることは多いです。自分自身がまったくそういうタイプだったために余計に感じます。

 

たとえば、怒られたときなどに私はずっと、「自分はコミュニケーション能力が極端に低いので、”普通”のコミュニケーションができないのだ」とか、「仕事の能力が極端に低い人間なのだ」とか、「こんな人間は生きている価値もない」とか考えて絶望的な気分になっていました。

書き出してみるとわかりますが、ちょっとバカですね。そもそも、そういうふうに「自分は特別な人間」と思っていること自体が、自己愛が強いことの特徴だったりします(自分は”普通”のひととは違うと、なぜか強固に信じている)。

だから、明らかに失敗してしまったこと(やるべきだったことをミスったり、忘れたり)を報告して、怒られるときにはそれほどダメージを受けたりしません。こたえるのは、「自分は正しいと思っているやり方でやった」のに、「”普通”はそういうふうにはしないよね」と注意を受ける場合です。

 

具体的な例を出します。

スケジュール上、この日までにやらなくてはいけない、とわかっているタスクをあるとき完全に忘れていたことがありました。上司に報告してめっちゃ怒られましたけども、なんとか各所に謝り倒して遂行することができました。それからもいろいろ失敗してますが、こういうときに謝り倒すのは何の苦でもありません。むしろ自分の中では「失敗したら謝り倒してなんとかする」という成功体験になっているからです。

もうひとつの例で、先方とアポイントを切るときに、ちょっと失礼なやり方でメールを送ってしまったことがありました。そのときに上司から、「そういうやり方は普通しないんじゃないか」と指摘を受けたのですが、これはもう、完全にダメです。自分では正しいと思ってるやり方でやったのにダメだったので、「自分は一般常識が著しく欠けている人間なんだ」と完全にドツボにはまってしまいます。それ以来、アポイントを切ることに関しては今でも極端に苦手です(お腹痛くなる)。

 

今振り返って自分なりに感じているのは、私の中には”普通”という理想像があるということです。一般常識に長けていて、コミュニケーション能力が高くて、誰からも愛されて、かつそのことを鼻にかけず、いつも明るくほがらかで気持ちのいいひと……書き出してみるとほんとによくわかりますが、そんな人いませんし、大切な友達や愛すべき同僚も、大抵いろんな欠点を抱えてますが、そのことで彼らの価値が下がったりしないです。

「自己愛の強い人」というのは、ちょっと誤解されがちですが、「自分に甘い人」のことではありません。「自分は理想的な自分であるべき」と固く信じていて、「そうでない自分に価値はない」と思っている人のことです。理想像に固執するのをやめて、「欠点だらけの自分を認め、愛すること」からすべてが始まります。

 

動悸がする時は抗不安薬

私の場合は、失敗した後というよりも「また失敗するんじゃないか」という思いの強い時に、動悸が止まらないということがあり、社内カウンセラーの先生に相談したところ、内科で抗不安薬(リーゼ)を処方してもらうことを教えてもらいました。実際に内科を受診してみたのですが、「不安な時、動悸がする」と簡単に伝えると、すぐ処方してもらえました。心療内科に行くのはちょっとハードルが高いと思っている人にもおすすめです。

もちろん人によると思うのでお医者さんの判断を仰いでほしいのですが、この薬があると本当に楽です。「持っている」と思うだけで安心もできるのでおすすめします。

 

「認知の歪み」を自覚しよう

ちょっと怒られただけで「私は生きている価値もない人間なんだ」とまでドツボにはまってしまうひとは、ちょっと認知が歪みがちです。

認知が歪みがちな極端なひと(パーソナリティー障害が噂されている太宰治など)を自分以外に思い浮かべてみると、認知が歪んでる状態というのはイメージしやすいです。そんなちょっとしたことで、そんなに落ち込むなよー!と突っ込みたくなると思います。

しかし本人はいたって大真面目に落ち込んでいるわけで、これを矯正する方法ですが、以前にも紹介しましたがこちらのサイトが本当にためになります。

 

「ここれん」こころの練習5分間 千葉大学監修

 

私の場合は、なにか心配事や悩み事で思考がドツボにはまり始めたときは、「は!いま歪んでる!」と気づき、「認知の歪みー!」と叫んで大きく伸びをしてドツボから抜け出すイメージをすることにしました。これを認知の歪み体操と呼んでいます。

そんな特殊で医療的なアレもなにもない例はさておき、「ここれん」は本当におすすめなのでぜひやってみてください。

 

人の目を気にするのをやめましょう

小学5年生のとき、なぜそうしようと思ったのかわかりませんが、運動場でサッカーをしている男子ばかりのチーム(私の学校では当時、昼休みにサッカー、バスケをするのは男子のみで女子はべつの遊びをしていました)に突然まぜてもらう、ということがマイブームになったときがありました。しかし私は絶望的なまでに運動音痴なので、こころよく受け入れてくれたチームのメンバーに迷惑をかけまくるわけです。

ある日、やっぱりせっかくまわしてもらったパスが上手に受けられず迷惑をかけて落ち込んで、「私、いないほうがいいよね……」と同じチームの男子に話したら、その子は「自分が楽しければ、それでいいんだよ」という言葉をくれました。

その言葉が、私の中ではずっとお守りのように輝いていて、絶望しがちな人生の中で支えになっています。

私のしたことが迷惑をかけてしまったかもしれない、もしかしたら嫌われてしまったかもしれない、私なんかいないほうがいいのかもしれない、と人の目を気にしてばかりいる人は、要は自分のことしか考えていません。「私、綺麗?」と四六時中、他の人にきいてまわっているようなものです。

そんなことより、「ああ、楽しいなあ」と、自分自身の気持ちを大事にすることがまず何よりも大切です。そうしたら、きっと私にとってのヒーローのあの子のように、他の誰かにとっても大切な存在になれると思います。

presented by 東京エスカレーター / CC BY-NC 4.0